どんっと、強く肩を押されて突き放された。

フローリングに尻餅をついて座り込んだまま、俺は柔らかな感触の残る唇を押さえた。

顔をあげて真由を見る。

生気のなかった目が、今ははっきりと俺を捕らえていた。

「……どうして?」

理解できないと言いたげに、眉をしかめて彼女は首を振った。

「私達、姉弟なのよ?……こんなの変、よ」

「……俺は」

声が掠れる。

もう、嘘をつく気も誤魔化すつもりはなかった。

例え、嫌われても二度と笑いかけてもらえなくても。

あんな風に存在すら否定されるよりましだ。

俺は真っすぐに真由を見つめた。

「姉さんが好きだよ」