「なんでこんなことしてるんだよ! なんで!?」

責めても始まらないことはわかっているのに、苛々が募って、声が荒くなる。

真由は不思議そうに俺を見上げた。

「……なんで?」

俺の言葉を繰り返し、首を傾げた。

「いいじゃない。私はいらない人間だもの」

「なに……」

「ねぇどうやったら死ねるのかな? 死ねないの。切っても、切っても血が流れるだけ」

真由は自分の身体を抱きしめて爪を立てた。

「なんで死ねないの?私なんか誰もいらないのに! 誰も私なんか必要としてないのに!」

「やめろって!」

傷を掻きむしる真由を、抱きしめて押さえ付ける。

「もう、やめろよ」

泣きそうな声で、呟いた。


俺は知っていた。


真由が従順でいい子だった、その理由を――。