電車を降り、早足でマンションに向かった。

久しぶりに会える期待と、冷たく追い返されるかもしれない不安。

うるさく鳴り響く心臓を抑えながら、インターホンを鳴らした。

応答は返らない。

落胆しながらも諦められなくて、預かっていた合い鍵でオートロックの自動ドアを開けた。

エレベーターを降り、マンションの部屋に踏み込む。

途端、空気の重さを感じた。


「…姉さん?」

ざわざわする心を落ち着かせるように、呼びかけながらリビングの扉を開ける。

「姉さん?いるの?」

部屋を見回し、微かな気配と細かい息遣いを感じて、カウンターキッチンを回った。