「俺も怒ってるんだよ」

内包した怒りで声が低くなる。

彼女は顔を強張らせて俺を見た。

俺は目を合わせず、彼女の手首の白い包帯に視線を落とした。

「これで、あいつの気は引けた? 同情して抱いてくれた? あいつの腕でどんな風に喘いだの?」

馬鹿な質問が次々飛び出す。

悲しげに眉を寄せた彼女に、俺は唇を噛んだ。

「…昨日は乱暴にしてごめん」

額にかかる髪をかきあげる。

「俺はただ。……あいつのニオイを消したかったんだ」

息をのむ彼女を見れないままベッドを降りた。


落ちたネクタイを拾い上げ緩く締める。