「朝は肌寒いね」

ぷるっと猫のように身体を震わせて、ミコトが身をすぼめた。

「だから、カーディガン着ておいでって言ったのに」

溜息をついて、腰からカーディガンを外し、肩にかけてやる。

ダボダボの服にすっぽり収まったミコトは、

「あったかーい!」

うれしそうに笑って袖に頬擦りした。

学校までの道を二人で歩くのは、10年前から続いている日課のようなものだ。

高校受験で学校が離れることは覚悟していたが、ミコトはランクを二つあげて、僕と同じ学校へ入学した。

無理をさせた罪悪感は半年経った今もある。

正直、ミコトは授業についていくので精一杯だから。

他の楽しみを奪ってしまったようで、胸が痛かった。