理性は

どうしてこうも脆く崩れやすいのだろう?

何度も自分に言い聞かせたはずだった。

彼女を

汚しては、ならないと。


なのに抑制がきかない。

気付いた時には、ミコトを腕の中に閉じ込め、甘い香りのする髪に顔を埋めていた。

柔らかい滑らかな肌が、直に手に触れる。

その刺激だけに、意識が奪われていく。



―――ダメだ。



強く抱きしめて、



―――ダメだ。



固く目を閉じた。