発すべき言葉が見つからないまま。

口を閉ざし、ただ蓮くんを見上げ続けた。

きっと今の私は縋るような目をしてる。

見つめ合う蓮くんの瞳が、戸惑ったように揺れた。

「………」

沈黙が部屋を支配する。

「…コーヒー、入れようか?」

先に目を反らしたのは蓮くんだった。

わたしの髪から手を離し、ダイニングへと体を反転させる。

反射的に

ソファから立ち上がり、蓮くんの背中に抱きついた。

「…ミコ?」

蓮くんの唇から、問いかけるような、掠れた声が漏れた。