縫い付けられたようにその場から動けず固まったままの私の背に、誰かの声が当たった。 「うわっ…スゲーなこれは」 聞き覚えのある、少し掠れたその声に 視界が滲んで、胸が熱くなる。 高鳴る胸を押さえながら、私はゆっくりと振り返った。 「……久しぶり」 はにかんだ笑顔 ちらりと見える八重歯 柔らかそうな灰色の髪が、太陽の光りに照らされ、きらきらと輝いていた。 了 .