ふと空を見上げると、欠けた月が灰色の雲に隠れて柔らかに輝いていた。 綺麗だ、と思った。 今まで、月なんて見ても、何とも思わなかったのに。 そんな自分にちょっとだけくすぐったくなって、だけど、嬉しくて。 私は、一歩一歩踏みしめながら暗い夜道を歩いた。 .