―もうさ、そろそろいいんじゃねぇかな。


ライブが終わった後、ドラムの潮田にそう言われたときに、俺は何も言う事ができなかった。


前から俺も、そう思っていたから。

その通りだよな、って心の中では頷いていたから。


それに、あのまばらな客を見て、更に心が冷めてしまったんだ。


……だからもう、今日のライブは半分は自棄だった。


冷めた自分に苛立って

現実にむかついて

悔しくて


いつもの倍、暴れた。




「……情けねえな…」


そうは思うけれど、


「…バンド…やめようかな……」


それしか、無いのかな。


深いため息をついて、俯く。



高校を卒業して、地元でそこそこ名の知れたバンドだからって調子こいてここまで来たものの、現実は予想とは大きくはずれた。


ここに来て、四年。


今日のライブが、この、冷え切った現実を嫌になるくらい表してる。



同じ頃に出てきた地元のバンドはそこそこ上手くやっているらしいし、そんな話を聞けば聞くほど、俺らがやってることっていったい何なんだろうって疑問を感じてしまう。


しかも今日は、何故か女の子を泣かせてしまったし…。



何で泣いてたんだろう、あの子は。


理由はわからないけれど、罪悪感が胸の中に溜まっていく。


そして二度目のため息を吐こうとした、その時。





「…だ、駄目です!!」


後ろから、声が聞こえた。




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