ビオラが言うのなら本当だろう。ビオラは決して嘘をつかない。特にバースに対しては。
「クソッ。なら城の中の人間だったのか…」
この広い城の中だ。建物の中を知っていれば隠れる所は沢山あるだろう。
「ビオラ、お前はすぐにオペラの所に行け」
「え?」
ビオラは訳が分からないと言った感じで口を開けた。
「犯人はヘウ"ンを連れて行ったのよ。ヘウ"ンの所へ行かないと」
「あいつの事なら私が追う。とにかくお前はオペラの所へ」
「何言ってるのよ!相手は何人いるか分からないのよ!それにどんな奴なのかも――」
「うるせえ!」
血管が切れたバースは、まだ思うように動けない身体を無理矢理動かし立ち上がった。
「あいつは王女じゃねーんだぞ!もしそれが犯人にバレたら、あいつの命もない!それにあいつが王女じゃないと分かったら、犯人は本物を探し出す。そうなったら最悪の結果しか残らないだろ!」
バースは焦りを全てビオラにぶつけた。