神人とは、神のような力を持った人間の事。
物を自由に変化させ、自然の力を自在に操る。そして世界中の神人は全員聖域に集まる。
神人の卵であるヘウ"ンも聖域にやって来た。
「大きな街ー」
黒い髪に大きな目。小柄な少女の手荷物は大きな鞄一つだけ。
神人の学校を卒業し十八歳を迎えた今日、少女は教会に入る事になった。
「凄いなー。人が沢山いる」
街からずっと離れた村に住んでいたヘウ"ンは、人が沢山いる事に慣れていなかった。
「世界中の人がいるんじゃないかなー?」
そんな訳ないが、そう思ってしまうのも仕方ない。
「えっと、教会にはどう行くんだろ」
周りを見渡しているとヘウ"ンの前に一台の黒塗りの車が止まった。その車から男が降りて来る。
「今日から教会で働くヘウ"ンさんですね。お迎えに上がりました」
そう言って男は後部座席のドアを開ける。
「ありがとうございます」
とりあえず教会を探す手間が省けたヘウ"ンは車に乗った。
いよいよ教会に向かう。

教会に着くと、案内人にある部屋に通された。
「ヘウ"ンさんの上司がこの中でお待ちです。それでは私はこれで」
案内人は一礼して去っていった。
ヘウ"ンは扉の前で一度深呼吸した。