この日のバイトは、斗馬くんも一緒だった。


夕方の混雑する時間帯を終え、ホッと一息ついていると


「すみません」


お客さんに声をかけられ、あたしは不慣れな営業スマイルでふり返った。



こげ茶色のスーツに身を包んだ、中年の男性。


まっすぐ伸びた背筋と、端正な目鼻立ち。



かすかな微笑を浮かべたまま、じっと見つめてくる男性客に、あたしはとまどった。



「……あの?」



崩れかけた営業スマイルで用件をたずねると、彼は「あぁ、そうだ」と思い出したように口を開く。



そして次に続いた会話が

あたしをさらに動揺させた。