リビングから続く和室。ヨーロッパで揃えた家具は勿論高級だろう。これはあたしのお母様の趣味だったらしい。和室から覗く庭園にはガーデニングが好きだった母の為の庭がある。夜はライトアップされるのはそことは反対に位置する日本風の庭園。 あたしの視線に映ったのは、 「…母…様?」 息を呑む程の一瞬の衝撃。 勿論、その人が母様である筈がないのは分かっている。記憶の薄い母の面影によく似たその女性は、あたしを見つけると上品に笑った。