家、というよりも屋敷みたいな無駄に広い邸宅に着いて、愁哉さんはあたしの額に口付けをすると部屋に明かりが灯るのを確認して車に乗り込んだ。


こんな茶番、いつまで続くのかしら。


あたしはリングを眺める。


感情などないと知っていて、合わせる肌がどれだけ虚しいものかあたしは初めての痛みと同時に知った。


それでも


終わらせない。


失いたくないただ一人。

幸せかと聞かれれば


笑顔で幸せですと答えてみせる。


それがあたしの選んだ道。