眠った後の拓兄は、たまらなくかわいい。



ちょっとでも動こうとすると逃げるなと言わんばかりに、ギュってしてきて、足まで巻きつけてくる。



まるで抱き枕状態。



拓兄の吐息があたしの頭にあたって心臓の音まで聞こえてくる。拓兄の匂いに包まれて、
五感のすべてが拓兄で満たされる。



すべてと言うのは言いすぎね。味覚は満たされていない。



それが満たされる日が来たらどんなにいいか。




そんなことを考えながらあたしも眠りに落ちていった。











「ぐっすり寝ろよ。」



眠っているはずの拓兄の声を聞いたような気がした。