あたしは奪われた視線をそのままに、 2人っきりのこの状況がそうさせるのか、 「…寂しくないですか?」 口から出たのは聞きたくないプライベートな疑問文。 「ん?」 「綺麗な、リング、」 だって、もう、視線に気づかれたに決まってる。部長の婚約者は今海外に留学中だと、噂好きな誰かが前に言っていた。 「ああ、これか」 部長は特に抑揚もつけない声で淡々と返す。出来れば『恥ずかしいな』とか照れるバージョンは出来れば止めて下さい。