「電気ついてたからな、冴木だと思ったが」
黒くて綺麗な瞳が細められてクールな口調は彼の雰囲気そのままで、やっぱり、すごく、いい。
「部長は、今まで出てたんですか?」
よく見るといくつかのファイルケースに鞄。
「ああ、今日中に仕上げたい仕事があったからな」
淡々とそう言うと、
「冴木はまだ帰らないのか?」
そういえば…今、何時?そうね、大体ね、なんて歌詞が頭に浮かぶくらいあたしは、部長と2人っきりのこのシュチュエーションに盛り上がっていた。
「あ、もうこんな時間でしたか。もうすぐで終わるんで仕上げて帰ります」
部長はあたしをフッと見つめて「そうか」と笑う。…もう会話終わっちゃった。
だけど、この企画書の期限は明日。あたしが決めたんだから、やりきる。

