今、何時かな?時計のないこの部屋に、感覚の掴めない体をさまよわす。 「…んっ!」 その瞬間、ソファで眠る彼に腕を引かれた。 「…どこに行く?」 優しい声は脳を侵す。 「時間、知りたくて…」 暗闇で良かった。顔が熱い。それに、さっきの事を思えば、恥ずかし過ぎる。 「気にしなくていい」 「気になります、どうして時計ないんですか」 「必要ない」 淡々とした口調はもういつも通りで、あたしはどう答えるのかさえ忘れてしまう。