「…部長」 振り向かなくても彼の存在は背中で感じたけれど、あたしはゆっくり向き直る。 高級外車が嫌みなく似合い過ぎるモデル体型のシルエット。 「やっぱり、冴木か」 部長は形良い瞳を僅かに細める。 「な、何でしょう」 だから、その顔は反則過ぎる。 「乗りなさい」 そして、断る事を選べない命令口調。 あたしは溜め息をついてすぐに吸い込んだ。