多分、いや絶対、間抜け面のあたし。何言ってるのか理解するのに時間がかかる。 「クッ」 笑う、部長。 まるで、異次元。 サラサラの髪が揺れて、…って、え?笑う所? 「冴木、欲しいのか?」 いや、だから、なにが、 「手、出しなさい」 おもむろに指輪を外す彼は、慣れた動作であたしに綺麗なリングを手渡す。 「じ、冗談きついです」 いや、まじで。 「なにがだ」 不思議そうな眼鏡の奥のガラス玉みたいな瞳があたしを捉えて離さない。 何なのこの状況。