折角のGWだし、歩いてビーチに行けるし、これは泳ぐしかないよね?
丁度私の部屋に来た藤臣さんに訊いてみたけど
「もう暫くお待ちください」
と苦笑いでお預けを喰らってしまった。
「先ずはこのお屋敷をご案内して、それからこの島の施設についてご説明いたします。午後からは淑乃様のお好きなようにお過ごしください」
そう言われたら、私だって聞き分けのない子供ではないから待つことにした。

藤臣さんから受けた説明に未だ実感が湧かない私。
ここは日本なの?って確かに思ったけど…本当に日本じゃなかった……
だってパスポートもビザも用意しなかったよ?
ほぼ手ぶらでお屋敷から自家用機に乗って数時間で…そう、数時間かかったんだ。
自家用機と言っても松本家所有の自家用機だから、大型旅客機と遜色なかった。
私が案内された席はフルフラットは当たり前、羽毛布団やガウンまで用意されたファーストクラス。
目の前には優に50インチはある巨大な液晶テレビ。
それ以外にもベッドや豪華なバスルームに、美人なキャビンアテンダントによる過剰接客。
飛行機に乗っていることを忘れるほどだった。
たかだか高校生1人の為に何もここまで…と思ったけど、松本家ならではなんだろうな。
そんな松本家が所有する離島の別荘となれば、短期滞在とは言え半端なかった。
別荘なのに何でこんなに立派なの?
流石に松本家のお屋敷ほどではないけど、それでも十分に立派なお屋敷だった。
こんなに素敵な場所に建っているのに、温室とか要らないと思う……
唖然しながら言う私に
「雨が降った時にお茶をお召し上がりになる場所が必要でございますので」
と優しく笑う藤臣さん。
お部屋や客間で十分だと思うけどな…お金持ちの考えることって分からない……
そしてやっぱり、お風呂は洋式と和式の二種類があった。
和式は勿論露天風呂。
どこから温泉を引いてるのよ?
当然、各客室にもバスルームとシャワールームとトイレと大理石の洗面台。
洗面台と言うには立派すぎる空間だったけど。
高級ホテルのロイヤルスイートルームさながらだった。
1人部屋なのに何でこんなにお部屋があるの?
調度品も超一流で、キッチンやワイン専用の冷蔵庫みたいなものまであった。
あまりの広さに別荘を見て回るだけでGWが終わりそう…