「…栗城? どうしたの?」



ぼーっとしている栗城の顔を覗き込みながら言う。



栗城は何かを見ているようだった。




しかも、顔を赤く染めて…


…嫌な予感がした。



こういうときの予感というのは皮肉なものでよく当たる。



そして、予感は的中した。


栗城が見つめる先には、暗めの茶色に染め上げた髪を丁寧に巻き上げてゆさゆさと揺らす女の子がいたのだ。



ぷーっ!



あたしは、頬を膨らます。


可愛い子を見つけたからって彼女が横にいるのにそんなに見入らなくても……



あたしは、バシッと栗城の頭を叩いてやった。



「…いってぇ 何すんだよ?華」



「自業自得っ!彼女が横にいるのに女の子を見つめてるなんてありえないっ」



あたしは、そう言ってぷいっと顔を背けた。