しばらくして練習が終わると、辺りは真っ暗。


今、あの時のことを思い出して身震いして体育館の入り口前で足を止めている。

怖くて、足が動かないのだ。


やだ…


ママに迎えに来てもらおうかとも考えたけど、今日はママとパパの結婚記念日だとかで子どもを置いてデートなのだ。


こんなときに…。


そう思いながら、仕方なくトボトボ歩き出す。


でも、やっぱり怖くて走ろうとしたとき


ポタッ


頬に冷たい何かを感じた。

「…雨?」


こんなときに、雨か?


とことん、ついてないと今度こそ走ろうとしたとき

グイと後ろに引かれた。


「わぁっ!な、何?」



思わず声を上げて後ろを振り返る。


そこには、栗城絢都がいた。


「傘、ねぇんだろ?入れてやるよ」


と、親切なのは嬉しいけど


これって…

世に言う相合い傘ってやつですかーーっ!!?


「ちょっ、ちょっと待って!!恥ずかしいよ」


あたしは、照れまくって傘から出ようとするのにガシと肩を栗城に捕まえられ密着状態。


バスケ部の先輩に途中あったらどうしよう…。


なんて、考えていると栗城が眉間に皺をよせて


「そんなに、俺と入んの嫌か?」


と言ってきた。


嫌っていうか…
恥ずかしいっていうか


でも、入れてくれてんのに嫌なんて言えないし。


あたしは、なにも言えなくて俯く。


すると、栗城は「ほら」と傘をあたしに手渡し、傘から出ようとした。


えっ?


ちょっと、待ってよー