そんなことを、口走っていた。
警備員は出ていったけど。
休憩室にあたしと哲さんと栗城の3人を沈黙が包む。
その沈黙を破るように、栗城が口を開いた。
「華は、渡しません」
そう言った栗城に、胸がいっぱいいっぱいになる。
「俺は、華が好きです…誰にも負けません」
涙が止まらない。
今すぐにでも、飛び込みたい。
そんな衝動にかられているのに、そうしないあたしはお母さんを裏切れないから?
栗城という選択肢がないのを知っているから?
……ううん。
両方とも違う…
あたしは、こんなにも優しくて
こんなにもあたしを想ってくれている
哲さんを裏切れないから、だ…───

