そんなロマンチックな展開なんて訪れることなく、あっという間に結納が済み、結婚式を明日に控えたあたしは今、結婚式前夜の披露パーティー中。





たくさんの偉そうな方々に挨拶をしていく。





哲さんの両親に挨拶したとき、不機嫌そうな潤くんと目が合った。




潤くんは、複雑そうに唇を噛みしめあたしから目をそらした。





その行動にちょっと、寂しくなる。





「哲さん、ちょっとお手洗い行ってくるわ」





慣れない挨拶回りに疲れて、目眩すらする。




トイレに向かう途中、潤くんとすれ違った。


「潤くん!」




つい、呼び止めると潤くんはまた複雑そうな顔をして振り向く。





「なんで、兄貴と結婚すんだよ……」





「え?」






「お前の弟になりたいわけじゃねーんだよ」





そう言うと、振り返ることなく行ってしまった。





ねぇ…?




潤くん、それってあたしのこと女として好きってことでいいんだよね?





ありがとうね…潤くん。