ある晴れた午後。

丘の上には、柔らかい日差しが降りそそぎ、タンポポやチューリップたちは、太陽に感謝していました。

風でちぎれた雲が太陽を覆い隠し、一瞬だけ若葉に影が降りたあと、また元の日差しに包まれました。


ぶかぶかの麦藁帽子を被ったこぎつねが、丘をトコトコ登ってゆきます。

頂上に、手ごろな大きさの石があったので、そこに腰掛けました。

こぎつねは、何だかお尻がムズムズするのを感じました。

「おうい、重たいよ。どいてくれえ」

足元をのぞき込むと、真っ赤になった石が、ギロリと目を剥いて、こぎつねを見返してきました。