あれは小学校3年生の秋だから、もう10年以上前のことになる。

学校での昼休み、僕と友人たちと、君は、机の周りに集まって、一枚の紙を見つめていた。

「こっくりさん、こっくりさん、**君の好きな人を教えて下さい」

東西南北や数字、平仮名50音を書いた紙の中心に十円玉を置き、指を載せて、聞きたい事を口にする。

それは、『こっくりさん』と呼ばれる遊びだった。

当時の僕らは、刺激を求めていて、怪談や都市伝説の類には目がなかった。

十円玉が動き、答えを示すたびに、僕たちは興奮し、時間を忘れた。

しかしながら、心のどこかでは、こっくりさんという遊びに対して、超自然的な力など存在せず、どうせ誰かが動かしているんだろうと思っていた。

それでも僕たちは、遊びに夢中になった。
とどのつまり、みんなで集まって何かをするのが楽しくて、その媒体は何でもよかったのだ。