「痛っ! やめてください!」

由美を組み敷き、10センチくらいの距離まで顔を近付けた岸田は、生暖かい息を由美に吹きかけた。

「由美ちゃん……1回だけ、いいだろ?」

「嫌です! この手を離して!」

「いいじゃん、やろうよ」

岸田の目は完全に血走っていた。


その時、何かがひしゃげる音が聞こえた。

岸田の動きがピタリと止まった。

「先輩……?」

わけがわからず、震える声で言う由美。


次の瞬間、無表情な岸田の顔に赤い血が伝い、その口から、胃の内容物が溢れ出てきた。

「い……いやぁぁぁ!」