薄墨を掃いたような夕風が、土管の上の君の黒い髪を、簾のようになびかせる。

「……久しぶり」
と、君は言った。
「もう何年だろう……言葉で表せないわ」

君の顔と声は、小学生のときのままだった。


「信じられない」
震える腕を必死に抑え、僕は言う。
「……今まで、どこにいたの?」

君は眉根を寄せ、
「うーん、どこだろう……? 醒めない夢の中をずっとさまよっているような感じ。寂しかった……」

そう言い、両手で顔を覆い、君は嗚咽し始めた。

僕は自分を落ち着かせるために吐息をつき、区切るように言った。

「……なんで、こんなことになってしまったんだろうな」

君は赤い目を見せた。

「わからない。何かバチが当たったのかもね。ひどい神様ね……本当」