あやつりの糸

「人類をまとめるには、排除するものがあると言ったな」

 その一つである多様性の排除は、探究心を(はば)むものだ。

「探究心?」

 ベリルは何故、そんな話をいまするんだ?

「この世界に、惑星は地球だけだと考えてはいないだろうな」

「──っ!? 君は、宇宙まで視野に入れているの?」

 なんてことだ。

「いつか、人類はこの星を飛び出すだろう」

 私はそれが見たい。

「じゃあ、君が導く者になったら宇宙開発を優先的に進めればいいじゃないか」

 トラッドの言葉にベリルは渋い反応を見せる。

「あれ? 違うの?」

「魅力的な提案だが、そういう事ではない」

 そもそも多様性を排除する時点で奇抜な発想は拒絶され、進歩はごく僅かとなる。