あやつりの糸

「どういう事だ。お前が提案してきたものだろう」

「うん。そうなんだけど」

 ベリルに通用しないだけなら、方法を変えるだけでいい。

 でも、それ以上の効果が出てしまったら──その効果は僕たちに向けられるものだとしたら──そんな恐怖が、僕の全身を這い回る。

「さすが、父さんが選んだ人物だよ」

 こんなに先が見えないことは初めてだ。ごくりと生唾を飲み込む。

「そうだろう」

 ベリルと初めて対面したときの事を、わたしは今でも鮮明に覚えている。

 わたしを見上げる瞳には、これまでにない運命を宿している輝きがありありと照らし出されていた。

 それは、わたしが唱えることを実現する未来に他ならないのだと直感したのだ。