「いまさら恐れるものなんてないでしょう?」

 君は、とっくに全てを無くしているんだから。

「その方法が支配者だと言うのか」

「違う。導く者だよ」

 強烈なカリスマ性は、世界を変える力になる。君は、人類を救う神だ。

「馬鹿げている」

 私にお前たちの理想を押しつけるな。

「社会主義も資本主義も終わりに近づきつつある。すでに終わったと考えている者もいる。必要なのは新たなシステムだ」

 支配者ではない。

「そんなもの、君が導き手になりさえすれば──」

「人はときに、一つになる事が出来る」

 何かを目指し、何かを助け、何かと闘い──しかし、人類は一つにはなれない。

 それこそが、

「感情を持つということだ」

 自由を求めた私に、お前たちの言う導く者になれると、どうして思えるのか。




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