あやつりの糸

「お酒を飲む姿も絵になるねえ」

 片膝を立てて飲んでいるベリルの様子をグラスで差した。

「君は、あのときの経験から、誰かを救う仕事を選んだの?」

 出し抜けな問いかけにベリルは動きを止める。

「傭兵だけど君は他の傭兵のように、戦場では戦わない」

 お金が目的なら、功績を得られる戦場を求める。殺しを楽しみたいなら、さらに激しい戦場を望むだろう。

「でも君は──」

 戦う力のない者を戦場から救出する傭兵になった。

「望んでもいない戦いに巻き込まれる人たちを、自分の境遇と重ねているんでしょう?」

「私はそれほど自惚(うぬぼ)れてはいないよ」

 私にはただ、戦う能力(ちから)ではなく、誰かを救う能力(ちから)があると考えただけだ。

「そうかな?」

 君ならきっと、戦場で英雄になれるだけの能力があると思うけど。

「望まないものになる気はない」

「その戦いを終わらせることが出来ても?」

 冷戦が終わりを告げ、あちこちで内戦が勃発している。そんな、利権争いから多くの命が救えるんだよ。