──水中にいるあいだ、ベリルはくだらない演説を聴きながら戦闘シミュレーションを脳内で繰り返していた。
いかに手早く円滑に人々を救出できるか。常に予想外の出来事を考慮して動かなければならない。
受けていた依頼は仲介屋が上手くさばいてくれているだろう。自分が何かあったときのために、ネットワークを築いてきたのだから。
静かな室内に残った監視の一人を見やる。
随分、長いあいだ水中にいたとは思うが水を抜いたということは、他の方法を試すつもりだろうか。彼らの雰囲気からして、あまり質の良いものではなさそうだ。
方法はそれほど多くはない。そのなかで、より強いものを選択するだろう。
「やあ」
ほどなく戻ってきたトラッドにベリルはいぶかしげな表情を浮かべる。