「──っう」

 体が重い。いや、眠っているあいだも体はその環境に適応するよう変化していたのだから、これは精神的な感覚なのだろう。

「おはよう。水から上がった人魚姫」

 笑えない冗談だとトラッドに顔をしかめる。

「ずっと同じ服っていうのも君の容姿からして勿体ないから、寝ているあいだに着替えさせてもらったよ」

 それに自分の服装を確認した。

 武器を隠し持てるよう考慮した服装とは違い、かなりラフなものに変えられている。着慣れない服に違和感はあるものの、この場で気にするような服装でもない。

「本当に無駄なことはあんまり喋らないんだね。お喋りなのに、変なの」

 無言のままのベリルに肩をすくめる。

「明日から、もっと辛くなるよ」

 今日、一日だけ君はその中では自由だ。