「そろそろ、次の方法を試そう」

 父さんの焦りはきっと、今のベリルでも感知している。だったら、このまま続けてもこちらが有利にはならない。

「そうだな。お前が言っていた、痛みによる説得を試みよう」

「了解。あとは任せて。父さんはそれまで休んでて」

「頼む」

 溜息を吐いて遠ざかるハロルドの背中を見送る。

「じゃあ水を抜いて」

 指示のあと排水溝が開き、徐々に水が抜かれていく。

 そうしてベリルの頭が水から出たとき、肺が呼吸を始めるために水を吐き出す。少しずつ重力を感じるようになった頃に、水槽内に催眠ガスが送り込まれる。

 ようやく水から解放されたベリルは、ひと言も発することなく意識を遠ざけた──