「な、なんでだよ! 俺は、俺たちは、あいつの言う通りにしたじゃないか! 言う通りに皆殺しにした」

「でも、肝心の対象は逃がしちゃったよね」

「それはっ──」

「ああ、いいんだよ。そんなことを責めてる訳じゃないんだ。今は、逃がしてくれてありがとうって言いたいくらいだし」

「──なん?」

 意味がわからず困惑している男にトラッドは目を細める。

「元々、君たちが知ってはいけないこと(・・・・・・・・・・)なんだから。解ってほしいな」

 男はそれに目を見開き、悔しさと怒りに歯ぎしりした。

「初めから、俺たちを殺すつもりだったってことか」

「みんな死ぬはずだったんだけどなあ」

 君はトイレに行っていたんだったね。運が良いよ。