「俺はミシェル。これからよろしく。あなたは本当に強い。その強さを人類の未来のために活かしてほしい。冷戦が終わりを告げ、世界は平和になるのかと思ったが、それは大きな間違いだった。むしろ利権を求めた者が増加し、あちこちで内戦が勃発している。こんな状況、いいはずがない──」

 ミシェルは相手の(ふところ)に入るのが上手い。

 彼によってこれまで何人も同志を迎え入れた心強い仲間の一人だ。

 しかし、トラッドはベリルに視線を向けて渋い顔になる。やはり、目と顔の半分が覆われていることで思考が読み取れない。

 このまま、これを続けていいのだろうか。いや、まずは続けるべきだろう。最低でも三日は続けなければ、効果があるのか解らない。

 なのに、何故だろう。僕の中で、無駄な事だと繰り返し声が聞こえる。