ならば、彼を拘束するのではなく、その能力を活かしてもらう方向に転換した。それが国家の利になると判断したんだ。
現に、アメリカはいま彼に積極的に協力する国の一つとなっている。
だからといって、ベリルがアメリカのために動くことはない。それでも、彼と仲良くなっていた方が得であるのは明白だ。
結局のところ、そんな自覚はないだろうけどみんな彼に惑わされ、翻弄されている。ときには、敵でさえも味方になる。
ベリルという人物は、色んなものを相手にしている。そんな人間の一長一短を、果たしてどれだけ知る事が出来ているのだろう。
僕たちは、彼の心の内を何も知らない。
そう、ここにいる人間は、誰一人としてベリルについて解ってはいないんだ──
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