──二枚扉に近づくと、触れることなく静かに左右に分かれて開き、中央に設置された水槽が四方のライトに照らされている。
水槽を見つめる青年たちの、どこか異様な輝きを宿す眼差しと、視線を向けられているベリルの表情とはかなりの温度差があるように思えた。
同志たちにとって、師であるハロルドが全てを賭けた存在は、それだけで価値のある人物に値する。
ハロルドに対する絶対の信頼と尊敬──崇高な意志はこの世に広く伝えられるべきで、理解しない者は人類の未来には選ばれない。
若者にありがちな稚拙な信念を基盤に、ハロルドは彼らを信奉者へと変えた。