「そんなものは、君の考えでしかない」

 僕の考えとは違う。

「神とは、随分と思考に左右されるものだな」

 そこでトラッドはハッとした。

「お前は存在するかどうかも解らないものに、人類を委ねるのか」

「だからこそ……神なんだ」

「それは本心か」

 言い放ったベリルの瞳に歯ぎしりした。

 神を出した事は失敗だったと悔しげに口を歪める。

「統合に際して、お前たちはその外側にいる」

「当然でしょ。君の下で働くんだから」

 内側にいたら誰がその作業をするのさ。

「そして世界を動かしている優越感を抱くのか」

 しかし、ハロルドは違う。

「……? どういうこと?」

「奴は私を動かす事で、全てを支配しているのだと歓喜する」

 まさに、神になるのだとね──




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