あやつりの糸

 
 ──次の朝

 水中に入れられて二日目。ハロルドを見たベリルは、さも機嫌が悪そうに水中から睨みつける。しかしハロルドはそれを意に介さず、再びヘッドセットを左耳に装着した。

「その元気がいつまで続くかな」

 ハロルドは再び演説を始めた。

 互いに余裕を見せているが、トラッドはどちらが先に音を上げるのか、大体の予想はついていた。

 不死者を相手にするには、父さんは歳を取り過ぎている。

「父さん」

 一時間後、トラッドはハロルドの演説を遮った。

「目も塞ぎたいよね」

 自分の目を示す。

「でもそれには一旦、水を抜かないと」

 ハロルドは息子の提案に否定はせず、喉をさすってベリルに視線を送る。

「後は、任せる」

 昨日の疲労がまだ残っているようだ。ハロルドはトラッドにあとを任せ、早々に部屋を出て行った。

「ゆっくり休んで」

 仕方が無いよね。後遺症も引きずっているんだもの。