三十代後半だったブルーは、色あせた金色の髪に深い海の色をした瞳でベリルを怪訝に見下ろしていた。

 こんな子どもが兵士に何を教わりたいのかと疑問だったに違いない。

 軍の兵士だと聞いていたベリルはブルーを見たとき、想像していたよりも細いと感じていた。階級はさほど高くはなかったが、優秀だと聞いていたためだ。

 ヨーロッパのなかほどに位置するアルカヴァリュシア・ルセタには海がなく、陸軍と空軍のみを有している。

 裕福な国ではないけれど、内戦状態でもなく積極的に国外で戦闘をする訳ではないがその分、軍の国外派遣を重視していた。

 科学産業でのみ成り立っていたアルカヴァリュシア・ルセタにとって、他国の著しい発展は国の存続を脅かすまでとなっていたからだ。

 その焦りとプライドから、生命の作成という神の領域に足を踏み入れてしまったのかもしれない。