「君を手に入れるために雇った連中だったのだが思いの外、君は戦闘に長けていた」

 ブルーという兵士の教えがよほど良かったのか、君と闘ったであろう男が一人、裏口の通路で死んでいたよ。

「君を脱出させたのも、ブルーだな」

 彼は君に戦術の全般を教えていたそうじゃないか。

「選り抜きの傭兵どもを雇ったというのに、随分と手間取ったと言っていた」

 たかが一人の兵士に手こずるなど不甲斐ない。

「おかげで、わたしは君を逃した」

 しかしどうだ! 君は不死を手に入れ、わたしの理想に真に相応しい存在となった。

「お前の理想など叶える気はない」

「いいや、叶えてもらう」

 これまで自由に出来たのは誰のおかげだ。

「君を自由にしたのはわたしだ」

 そうでなければ、君は今も閉じ込められ年老いて死んでいくだけだったのだぞ。外の世界に触れる事もなく、得られた膨大な知識はただ記憶するだけという虚しい人生に終わっていた。