「分からず屋どもはわたしの殺害に失敗し、研究所だけでなく君まで失った。しかしどうだ。わたしは君を手に入れた」

 ハロルドは声高に語る。

「君を見た瞬間、わたしはまさに、稲妻に打たれたような衝撃を受けた。わたしの描いた世界に君こそが相応しい。そう、はっきりと確信していた。しかし、奴らはわたしの主張は危険だと判断し毒殺しようとしたのだ」

 当時、三十一歳の若き言語学者だったハロルドは、その薬で一度は死んだものの再び息を吹き返した。

「馬鹿どもは、薬物が残らないギリギリの致死量を誤ったのだ」

 わたしにはすでに、わたしの考えに賛同する学生たちがいた。

「そうだ。ここにいる同志は皆、わたしの死に嘆き、生き返ったわたしについてきてくれた」

 事業に成功した同志から潤沢な資金が送られ、ハロルドの意志に添った設備が整えられる。