あやつりの糸

 
 ──破壊しつくされた残骸(ざんがい)のなかから音を立てて手が飛び出す。

 どうにか埋もれた体を起こしたベリルの前には、瓦礫(がれき)がただ広がっていた。自分以外の気配はまるで感じられず、強く瞼(まぶた)を閉じてうなだれる。

「何故だ」

 何故、いつもこうなる。

 私のために、どれだけの命が失われなければならないのか。神というものが存在するのなら、彼らがどうして死ななければならなかったのかを問い(ただ)してやりたい。

「人の命のうえにある自由など、誰が欲しいものか」

 ベリルは流された多くの血に喉を詰まらせて空を仰ぎ、まだ残る火薬の臭いに顔をしかめながら重い足取りでその場をあとにした──




END