あやつりの糸

「ま、待て。トラッド。確かにベリルのためにとは言った。だが、それは同時に我々のためという事だ」

「へえ? 今さら、自分たちも入れろと言うの?」

「ち、違う。お前は思い違いをしている」

「何も違わない」

 父さんたちは、ベリルの邪魔でしかない。

 でも、

「君は優しいから。みんなを殺せない」

 でもそれは、君自身が危険だ。君の秘密を知る人間は生きていちゃいけない。

「だから、僕が代わりに殺してあげる」

「トラッド、よせ」

 ベリルを一瞥し、ハロルドに向き直る。

「それぞれが問題に向き合い、取り組み。努力し、工夫して作り上げていかなければならない事を、僕たちはベリルに丸投げしようとしていただけじゃないか」

 穏やかな笑みを浮かべたとき、通気口からガスが吹き出した。

 青年たちは慌てふためき、彼の手にあるガスマスクに目をやるがベリルを捕らえるために育てられたトラッドに挑める者など、いるはずもない。