「彼が導く者になれば、きっと僕たちは幸せな気持ちで働くことが出来るよ。彼と共に仕事をしている傭兵たちは、まったく不満を漏らしたことがないからね。それが証明だ」

 それに、一同の顔がほころんだ。

「さあ、頑張ろう」

 手を叩き、それぞれの持ち場に促した。青年たちの背中を見送り、トラッドは溜息を吐く。

 さすがに同志たちの心の乱れが目立ってきたため気を引き締めたが──このままだと崩壊するのは目に見えている。

 まさか、ここまでベリルの存在が影響を及ぼすとは考えていなかった。父さんの目は確かだったということだろう。

 これからどうすればいい。