オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】




「まず、騙した訳ではないことを説明させて欲しい。
私は本当に杏子、君と結婚したかった事は事実で。
その想いに嘘偽りはなかったのだときちんと理解してくれ」


……わからない、いったい赤石さんは何が言いたいの?


「私は、賭けをしていたんだ」


赤石さんはコーヒーカップを自由になる手で回しながら、ポツリと言う。


「病院から出発する前、私は君に“本当にいいのか?”と訊いたよね?

あの答えを聴いて、私は負けを悟ったよ。

杏子、君の心にはまだ凪にある。

どころか、いつでも君は凪の事で一杯で。

私が入り込む隙間など、1ミリすら見つからない。

最初はそれでもいいと思ったよ。

君が手にはいるなら、どんな方法を取ろうと構わないと。

……けれど。

君は君でなくなっていった。

凪から離れた事で、君の心が悲鳴を上げていたのに気付いてしまったから。
君が君らしくあるためには、凪のそばにいなくてはいけないと。
君にとって凪は、空気であり、水であり、太陽なのだと。
無くなってはいけないものなんだって」